映画キラキラ☆プリキュアアラモード 感想

事情があって公開から1ヶ月遅れて観てきました。

さらに平日の昼間に行ったおかげで自分以外には遅れて入ってきた親子1組しかおらずほぼ貸し切り状態でした^^;

 

 さて、今年の秋映画ですが歴代の秋映画とは趣向がかなり違っていて驚きました。完全に異色作です!

 

 まず例年だとプリキュアメンバーの中で主役(お当番)が明確に1人決まってお話が進む、ということは少なかったように思います。せいぜい赤プリキュア(主人公格)が際立って活躍する(特殊な変身を披露する)くらいでした(前年だと妖精のモフルンが主役化してましたが…)。定番はゲストキャラとプリキュアメンバーとの絡みの中でゲストキャラに関わるトラブルを解決する、というのがシナリオのテンプレートでした。

 ところが今作はプリキュアメンバーのうちの一人、それも主人公格ではないプリキュア(ずばりキラ星シエル)が話の主役となっていました。彼女は追加プリキュアで主人公と並び立つ、ほかのプリキュアとはちょっと違った特異な立ち位置のキャラなので劇場版で主役化しても違和感は無いですが例年と比べると特殊なケースと言えます。

 また、例年だと劇中で困難に直面する中でシリアスで少し重めな問題にぶつかり解決するという子供には少しハードなメッセージを孕む内容となることが常でした。ところが今回はそういった展開が無に等しいです。(一応孤独に修行すべきか仲間と切磋琢磨すべきかという問題提起はありますが、例年に比べれば極めて軽度です)

 常時コミカルなギャグが繰り返され軽いノリでお話がポンポンと進みます。非常に子供向けな内容となっています。敵による世界、空が暗転するような環境の変化といった例年だと必ずあった演出も無かったです。代わりに現実のパリの街並がお菓子に変えられるという見た目にはポップな演出に変えられています。

 それと関連しますが敵も見るからに邪悪な形態が最終的に表れるということはなく、これがラスボス…?と信じられないような可愛らしい女の妖精のようなお化けでした。声も男性ではなく悠木碧の超ロリボイスでしたし、極めつきはその目的です。

 「世界を闇に染める!」とか「復讐してやる!」などといった凶悪な目的ではなく、自分の作ったお菓子を認めてもらいたいがために世界を自分のお菓子でいっぱいにするというファンシーなものでした。そのマヌケっぷりに歴代コナン映画のしょーもない犯行動機を思い出しました(笑)

 それと先代のプリキュア魔法つかいプリキュア)が助っ人的立ち位置で登場したのも新しい試みです。春の方では定番ですが秋に登場するのも大歓迎ですね(勿論メインは今のプリキュアなので主役を奪わない程度で)。個人的に先代の魔法つかいプリキュアがかなり好きなのでまた動いている姿を見られてすごく嬉しかったです。

 

終わりに、シリアスなメッセージを含んだ展開のものがいいか今作のような終始軽めのノリのテイストがいいかは完全に好みの問題ですが、そのシリーズ全体の雰囲気にもよりけりだと思います。今作は人数も多く色使いが非常にカラフルなので絵的にもコミカル調が合っていたように思います。

BDが出たら買ってしまうかもしれません。

                              2017年11月27日

映画プリキュアドリームスターズ!(2017年)の感想

3月20日(月・祝)、今春のプリキュア映画を観てきました。イオンシネマで観たのですが、ハッピーマンデーにより1100円均一、祝日、イオン感謝デー、プリキュアやSING、ドラえもん、モアナ等ファミリー向け作品が多数公開直後等いろんな条件が重なって館内満員でした。プリキュアのシアターも親子連れがいっぱいでした。

 

(以降ネタバレ含みます)

さて、内容の感想ですが、全体的な出来は例年に比べるとちょっと物足りないなあという印象でした。悪くはなくスッキリまとまってはいるのですがストーリー面がもう少し骨太であればなあ、という感じです。

サクラとシズクの絆がメインテーマであり、その関係性についてはシズクの闇堕ち等でそれなりに描けていたと思いますが、

サクラ(とシズク)の世界

シズクのバックグラウンド

サクラのぼっち設定

についてもっと掘り下げて欲しかった。やはり物語の要となるキャラクターについての描写が少ないと物語を味わう余地も減少してしまいます。

あとサクラの羽衣を敵が狙う意味も単に綺麗でコレクションしたいから、というのも単純すぎて薄いなあと感じました。シズクの折り紙を使う設定や3枚のカードといった他のキーアイテムについてもそうですが、もう少し深い意味付けが欲しいですね。

 

全体が薄い印象になったというのは敵についても言えると思います。

さっき述べた目的意識・欲望の単純さもひとつですし、声優への山里亮太の起用も少し引っかかりました。

芸能人の起用と棒演技についてとやかく言うのは野暮ですし、彼が演じる敵がコミカルになるのも当然ですし、そういう敵がいてもいいと思います。ただ映画の中での敵の大ボスは巨悪であって欲しいなあというのが個人的な好みです。今回のようなコミカルな敵であっても最後に巨大化した後倒すのに苦労したり、真のラスボスが後に登場したりといった展開が欲しかった。魔法つかいプリキュアのラスボスがあっさり倒されたのに続いて今回もちょっと軽かったのでもどかしいなあと思います(笑)そろそろ粘っこいラスボスが欲しい。プリアラ本編に期待します。

 

物語に関してはちょっと残念だった一方で今回良かったのはセルパートとCGパートの振り分け方です。

ここ数年、短編、中編、長編など完全に分離した上で2部作や3部作に区切ったりして試行錯誤してきましたが、今回のようにセルとCGを場面ごとに振り分けてある世界(今回ではサクラの世界)ではCGを使う、というやり方はとても自然で尺を物語ごとにぶつ切りにすることもなく成功していたと思います。セルでもCGでも会話パート、戦闘パート両方が見られるのでお得です。

 

そして、最後に、参加プリキュアの人数について。

これが今回一番特筆すべきことですが、今作は今までの全シリーズではなく直近3作ということになり計12人となりました。

最近の春のプリキュア映画でずっと抱えてきた問題が考えてみれば当然の形に帰結したという感想です。(実際いつかこうなると思ってました。)

人数が増えても毎年全シリーズ全員出してくれるのが理想ですしそうあって欲しいですが、結局そうしたとしても近年のオールスターを見るようにシリーズを超えた掛け合いという見どころは十分に見られないし画面・シナリオ両面でキャラの動かし方に苦心することになります。それならば今回のように絞ったほうが掛け合いも十分に楽しめ制作に制約が少なくなって良いと思いました。ただ、近年から3作という選出方法では以降ずっともっと過去のシリーズのプリキュアが出なくなるので、そこは調整して欲しいものです。

 

追記

魔法つかいプリキュアの最終話でまほプリの3人と宇佐美いちかが初対面しましたが、あれはノーカンで今作中でも初対面という形になってました。年齢差(JDになったこと)もノーカンっぽかったです。当たり前っちゃ当たり前ですが

プリキュアオールスターズ2016春 感想

今春の映画プリキュアオールスターズ~みんなで歌う♪奇跡の魔法!~を観てきました。

 

今作は前作に引き続き「歌」をテーマにしており、前作の出来があまりにもお粗末で、またあのヒドイ出来だったらどうしようという不安半分今年は同じテーマで改善しているだろうという期待半分で観に行きました。

 

結果から言えば「歌」をテーマにしたオールスターズの前作での失敗を見事に乗り越え一つの解答を見出した良作でした!(以降ネタバレを含むので注意!

前作は「歌」をテーマに、各シリーズのプリキュアがライブ・ショー形式で順番に歌っていき(その幕間で各シリーズの代表1,2名が会話する)最後に取ってつけたように敵を共闘して倒して終わり、というような内容でした。ストーリーが有って無いような有り様で観終わった後頭を抱える出来でした。プリキュアが歌を披露することとストーリー性を確保することが両立出来ておらずそこが一番の問題だと思いました。

そして今年、同じく「歌」をテーマにしつつ敵に立ち向かうストーリーを存分に描ききることが果たされていました。つまり、強大な敵に立ち向かうというストーリーをミュージカル仕立ての演出で描くというやり方を取り昨年の問題点を解消したのです。1年越しの見事な問題解決と言えるでしょう。

 

今年で8作目になるオールスターズにはある確立されたストーリー軸があると思います。

・序盤で新米プリキュアが1代前のプリキュアと初対面し他のプリキュアの存在を知っていく

・その後敵と共闘する中で先輩プリキュアに助けられ尊敬の念を抱く

・中盤以降、先輩プリキュア(百戦錬磨のはずのオールスターズ)が(雁首揃えて簡単に)軒並み捉えられピンチに陥り、新米プリキュアが奮起してそれを助けプリキュアとして成長する

 

今作はこの伝統を着実に踏まえて話が展開されていました。シリーズの枠を超えたオールスターズの絡みも去年のような簡素なものではなく、しっかりとメッセージ性の強い会話が成されていました。(勿論人数が多すぎるので全く喋らないキャラや行動描写のほぼ皆無なシリーズも散見されましたがこれはもう恒例なので仕方がない)

 

話の肝となる敵の魔女ソルシエールの葛藤もテーマ的にあまり説教臭くなくまた重すぎず個人的には問題無いように感じました。(これは好き好きですがNewStageのような重いテーマよりは今回のようなちょっと特殊な一キャラクターの問題の解決の方が素直に観ることが出来ていいと思います。)

敵役のゲスト声優も演技ドシロートな芸人や子役でないので気になりませんでした。

ただ欠点を挙げるとすればもう一人(一匹?)の敵トラウーマの性格や目的などの作り込みが浅いし過去の劇場版のラスボスに比べて強大や粘り強さが無いなあと思いました。その点去年のラスボス(というか確か単なる暴れ竜)と大差ないですね。

 

繰り返しになりますが今作は去年と同じく「歌」をテーマにしながら去年の問題点を見事にクリアして非常に満足の行く作品だったと思います。言い様によっては初めてのミュージカル仕立てという点を除いてストーリーの組み立ては無難だったとも言えますが。及第点は取れていると思います。(70点/100点 くらいでしょうか)

 

私的小ネタのポイントを最後に。

オールスターズが牢屋に閉じ込められるところやピンクカルテットの共闘シーンでのギャグはニヤリとさせられました。キュアマリンの存在が目立つ演出。ああいうの毎年入れてほしい。

あとキュアハッピーキュアブロッサムの会話&共闘があって、スマギャンリスナーは絶対刮目すべきシーンでした。あのシーンだけでチケット1枚分の価値あります!